前半と違い後篇では、映画全体の評価・原作小説との違いや映画化に際してどのような変更がなされたのか考察していきたいと思います。
ナンバリングとしては機動戦士ガンダムの時系列を牽引しているがSF設定に矛盾点が残る
映画本編の評価。
パンドラの箱争奪戦から3年を描いた、閃光のハサウェイの世界。
本格的に地球連邦の衰退と腐敗が始まる時代。
圧倒的繁栄の陰に隠れ、アースノイドたちの間でも格差がひろがり、政府高官たちの私物化と腐敗が見え隠れしたいる。
「発展し過ぎた文明は繁栄の後に衰退する」と言った歴史。
のちに劇場版機動戦士ガンダムF91や機動戦士Vガンダムなどにもみられる、貴族主義やスペースノイドへの権力が移る雰囲気を醸し出している。
原作者、富野由悠季氏が同作の小説を発刊した時はまだバナージリンクスなどが登場する「機動戦士ガンダムユニコーン」の構成が考えてあるわけもなく、原作を現代版に「新生」させるためにあらたなSF考察が必要になった。
映画本編ではその脚色や美術設定が見事になされ、前後のナンバリング作品の歴史背景を考えた時代構築がなされていた。
ガンダムの評価。
同作はまず原作小説に際し、その後正式に映像化されたのは、PSゲーム「スーパーロボット大戦」「ガンダムGジェネレーション」ないで、お目見えとなった。
同機隊はどちらもハサウェイの乗る期待がNT専用機として活躍した。
本作は「機動戦士ガンダムU」「劇場版機動戦士ガンダムNT」の後作品となり、公開前から期待に搭載されたサイコミュ兵器の活躍が楽しみとなっていたが、演出としてはやや大人し目だった。
前作「機動戦士ガンダムU」「劇場版機動戦士ガンダムNT」では、CGグラフィックやエフェクトをふんだんに使い、ユニコーンガンダムに至っては機体全体をクリスタルで覆うなど大掛かりな演出とモビルスーツどうしの戦闘シーンの圧倒的クオリティーが目立った。
閃光のハサウェイでは、残念ながら登場する期待そのものの種類が少なく、主役機のクスウィーガンダム、連邦のガンダムペーネロペー、メッサーラの後継機と思われる「メッサーF」の3期とジェガンと4種類の機体だけだ。
作品全体がゲリラ戦や作品舞台でもある連邦議会が開かれるアデレート政府高官施設への強襲がメインのため、直接のモビルスーツどうしの戦闘はなく、ビームライフルの打ち合いがメインの中長距離戦となっている。
ここら辺は原作がもともと富野由悠季作品ともありリアリティとドラマをメインにした作品方向ともあって、
「おれはガンプラが見たいんじゃなくて、ガンダムが見たいんだ」と言う私には大変満足だ。
ラストーシンは?原作と次回作を期待させる。
95分と言う短い中で原作のストーリーラインを忠実に再現した作品となった。
余計な脚色はされず、小説になるとアニメと違い、やや癖がある内容へと変貌する富野由悠季原作の作品だったが、「小説:閃光のハサウェイ」に関して言えば、ifがなく、SF時代解釈が小説版の中で一番しっかりとなされた作品だと思う。
「ガンダムは子供向けのロボットアニメではなく、大人向けの人間ドラマ」として一番しっくりとくるため、変にやれニュータイプだの仮面だのが出てこなく、一つのSF大河作品として見れる。
惜しくも本編では小説の全編部分までしか語られなかったが、