ゼロ戦の生みの親でもある堀越二郎の半生を描いた「風立ちぬ」
このタイトルを聞いて
「あれ?いつもと違う」と思ったのは私だけでしょうか?
宮崎駿監督の作品と言えばタイトルの中に何らかの作品の登場人物や設定を織り込むイメージがあります。
「となりのトトロ」
「天空の城ラピュタ」
「もののけ姫」
「崖の上のポニョ」
など
上記に比べ「風立ちぬ」だけなんだか微妙と言うか、何を指しているかわからない。
今回は宮崎駿監督がこの「風立ちぬ」というタイトルに込めた思いと、なぜ他のタイトルちがいメッセージ性のあるタイトルにしたのか、解説していきます。
『風立ちぬ』が他の作品とタイトルのつけ方が違う理由は、原作にあり!
風立ちぬのタイトルのつけ方が今までのジブリ作品と違うのは、原作が宮崎駿監督ではないからです。
公式サイトでは、「風立ちぬ」の原作は宮崎駿監督になっています。
ですが、映画「風立ちぬ」の下地には、作品のモデルとなった堀辰雄氏の自伝的小説「風立ちぬ」があったのです。
『風立ちぬ』の意味は英語タイトルにあった!
映画「風立ちぬ」のタイトルの意味は
「風立ちぬ、いざ生きめやも」という、前文から取った、タイトルです。
映画のタイトルである「風立ちぬ」は、広告ポスターや作品冒頭で聞くことができ、元はフランスの詩人ポール・ヴァレリーが残したものです。
さらに、このフランスの詩を和訳したのが作品のモデルともなった「堀辰雄」氏なのです。
「風立ちぬ」原文の意味
和訳された原文は古文体で書かれており、
「風立ちぬ」は「風が吹いた!」と解読することが出来ます。
後半の「いざ、生きめやも」は「いざ」=「いざ行かん」、「生きめやも」は「生きていこう」になります。
「風立ちぬ」タイトルに込められた本当の意味
私は作品をみて、この作品に込められた思いが実はタイトルの原文の後半「生きめやも」が本当に語りたかったことだ思いました。
和訳された「生きていこう」と言う語尾の言い回しは、どこか遠回しでまるで後げな言葉です。
「風立ちぬ」のキャッチコピーは「生きねば。」です。
「~ねば」は国語で「~でなけらばならない」と言う意味を持ち。
「生きねばならない」と言う意味に訳すことが出来ます。
「風立ちぬ、いざ生き生きめやも」に込められた作品ラストの意味
「風立ちぬ」は、作品のモデルともなったゼロ戦の生みの親の航空技師・堀越二郎と同名の小説の原作者となる堀辰雄がモデルになっています。
作品ラストには両名に対し哀悼の言葉が乗せられており、宮崎駿監督からの経緯が感じられます。
堀越二郎はゼロ戦を生み出すも第二次世界大戦中の太平洋戦争にて、敗戦。
堀辰雄は、婚約者の矢野綾子さんを肺結核で若くして亡くしている。
「風立ちぬ」は、この両名の物語を織り交ぜ、堀越二郎の物語と描かれている。
2つの悲しみを1人の堀越二郎が背負った物語だ。
そして、人生の大切なものを失ってもなお、生き残された堀越二郎の胸中がこの
「風立ちぬ」の原文「風立ちぬ、いざ生きやもめ」に凝縮されている。