千と千尋の神隠しでは、主人公である荻野 千尋(おぎの ちひろ)が異世界に迷い込んだことにより、銭湯を営む湯婆婆から名前を取り上げられ「千(せん)」となずけられます。
作中の登場人物は、いずれも自身の名前を忘れ、湯婆婆に使役されてしまいます。
それは作中の登場人物であるハクも同じです。
名前を忘れてしまったハク
ハクいわく
「私も思い出そうとしているのだが、どうしても思い出せない」と口にしています。
ハクの名前もまた千尋と同じように名前が短いことと、湯婆婆に使役されていることからも、湯婆婆に名前を奪われてしまったのでしょう。
ですが、昨日今日で湯婆婆に名前を取られた千尋と違い、なぜハクだけは自身の名前が本当は「ハク」ではないと覚えておくことが出来たのでしょう?
千尋に至ってはハクが取っておいた洋服に書かれた名前を見るまで、すっかり忘れてしまってたというのに。
思い出そうとしてもどうしても思い出せない理由
ハクは自分の名前が本当は「ハク」ではないことを思い出しています。
ではどうしてハクは自分の名前までが思い出せないのでしょう?
あれだけはっきりと
「自分は名前を忘れている」
と語っているのに?
千尋同様・湯婆婆に名前を取られてしまったから
まず初めにハクが湯婆婆に名前を奪われてしまったことは確かでしょう。
自身の口からも証言してますし。
なにより、異世界で生きていくためには人間のハクは湯婆婆の力を借りるほかありません。
妖の世界にずっといたから
ハクは千尋を最初に見つけた時、千尋の体は透けかけていました。
「この世界のものを食べなければ消えてしまう」
その後、湯婆婆と契約することになった千尋はしばらくし、自身の名前を忘れてしまいました。
どうやら異界におて、現実世界でのできごとはどんどん忘れてしまうみたいです。
当初は湯婆婆に名前を奪われたためと思われましたが、千尋は当初の目的である、両親の存在まで忘れてしまっていました。
「異世界の食べ物」×「湯婆婆に名前を奪われる」
ハクは長い間湯婆婆に使役し、その間異世界での暮らしですっかり体が異界に染まってしまったみたいですね。
ハクが名前を忘れた本当の理由
ハクは最後、千尋の母親から千尋の住む近所の川で子供がなくなった話を聞かされ、自分が「川の主の神様だったことを思い出しました、またそれと同時に千尋が川でおぼれた際に自身が助けたことも……。
ハクはその後、湯婆婆の元から去ることと千尋との再会を約束し別れを終えました。
実は、このハクが自身の名前を思い出すきっかけとなった、千尋の話に
ハクが本当の名前を忘れ、どうしても思い出せない理由があります。
湯婆婆が奪った名前はそもそもハクの本当の名前ではなかった。
湯婆婆はハクとの契約の際、ハクから名前を奪いました。
ハクが思い出した名前は川の神である名前「ニギハヤミコハクヌシ」です。
ですが、このハクは仮にも神様です。
そもそも神様からお金をもらい湯治場を営み湯婆婆がそんなことをするでしょうか?
そんなことをすれば他の神様から祟りや二度と湯屋に来ることもないでしょう。
では、この「ニギハヤミコハクヌシ」の名前は何だったのでしょう?
ハクの本当の名前はもう一つある
この「ニギハヤミコハクヌシ」
千尋から河でおぼれた子供の話をしたことで思い出したのですが、ここで母親から話を聞いたということで矛盾点が出てきます。
それは千尋がハクの本当の名前を知る前から、河そのものがあったことと、それなのになぜハクが千尋のことを覚えていたにも関わらず、異界で生活することになってしまっているのか。
それは、ハクが千尋の兄であるからです。
千尋は川での話を母から聞きましたが、ハクはこの話を聞いて自身の名前を思い出しました。
ですが、もしハクが千尋に出会う前から川の神様だとしたら、名前など忘れたりしません。
つまりハクにとって記憶を呼び起こすきっかけとなったのは、「コハクガワ」という河の名前ではなく、河で千尋に出会ったこと自体にあったのです。
作中の冒頭でもハクはまだあっても間もない千尋に「前から知っているような気がする」と話しています。
現実世界の千尋たち家族が名前を語らないから
千尋の母親が隠して伝えるハクとの関係
ハクが名前を思い出せないのは、現実世界の千尋たちがハクの名を呼ばないから