物語の中で唯一敵役となる湯婆婆。
千尋の名前を奪い、「千」と名付け。
千尋の両親を豚に変えた、頭が巨大な老婆。
自身が経営する銭湯・油屋(ゆや)の番頭に自らたち、疲れを取りに来た神様たちをもてなす。
ストーリーを通して千尋や油屋で働く虫けらたちを使役するこの千と千尋の神隠し最大の人物・湯婆婆ですが、作中では何かに怯えたり、警戒するそぶりが見受けられます。
一体、湯婆婆にとってそれほど恐れるものとは一体何でしょうか。
何かを恐れる湯婆婆
作中、湯婆婆は仕事をほっぽって外に配下のカラスたちをつれ見回りに行きます。
忙しいはずの油屋の仕事や、大好きな坊さえ置いて。
湯婆婆にとってこの警戒パトロールは日常業務らしく、雨の日でさえ欠かすことなく自身みずからパトロールに出かけます。
そこまでして警戒する人物とは一体誰でしょう。
湯婆婆が恐れる人物、姉・銭婆(ぜにーば)とは
湯婆婆が恐れるのは、同じ魔女である姉の銭婆の存在です。
銭婆は湯婆婆の住む高台から電車に一晩乗ってたどり着く、森の奥地で暮らしています。
銭婆いわく、湯婆婆とは相性が悪く、ケンカばかりしていたそうです。
あの強面でケンカなんてぞっとしますね。
湯婆婆が恐れる、姉・銭婆の力
銭婆は千尋が訪れた際も灯火に道案内させたり。
紙切れに命を吹きこみ、油屋に潜入させ、千尋が湯婆婆の部屋に忍び込む際にも、中に入りカギを開けるなどしていました。
湯婆婆は生き物に対し契約と言う形で使役することはできますが、対する銭婆は無生物である灯火や紙に命を吹き込むなど、生物に対しては坊をネズミに変えたりと姿かたちまで意のままに操ります。
これだけ見ても、魔力に関して銭婆が湯婆婆よりもかなり上手のようですね。
実際、湯婆婆は銭婆の潜入にさえ気がつけず、姿を変えられた坊の姿を見ても、変身させられたことにも気が付きませんでした。
そんな銭婆を湯婆婆は常に警戒しています。
湯婆婆が銭婆を恐れる理由・湯婆婆の失いたくないもの
湯婆婆が銭婆から守りたいもの、それは湯婆婆が魔法を使う際もっとも効力を発揮する「契約書」でしょう。
湯婆婆の執務室には大きな金庫があり、作中では宝石をしまうシーンもありましたが、銭婆の使役する紙人形が執務室に入りました。
どうせなら坊を人質にすればいいのに、真っ先に執務室に侵入したのも、湯婆婆や坊と言ったものより、油屋の権利書や今までに魔術で契約した契約書を探すためでしょう。
人徳のない湯婆婆にとって従業員と交わした魔女の契約は、油屋を続けていくうえで欠かせない存在であり、自身の唯一の力でもあります。
湯婆婆自身は、魔術で何かを作ったりできず、銭婆さえ糸を自身で編むなど、どうやら魔女は物を作る能力が非常に低い節が多々あります。
湯婆婆に至っても神様からわざわざお金をもらうのは絢爛豪華な調度品をこしらえるためでしょうし、宝石でさえ生み出すことが出来ません。
湯婆婆にとって何より、「金」
そしてそれを生み出す油屋と従業員
湯婆婆にとってそれらを結びつける唯一の力が、魔女の契約書という魔術であるわけです。
まとめ・湯婆婆が本当に恐れるものは、やっぱり金だった!
湯婆婆が本当に恐れるものはやっぱり金でした。
自身では魔術で物を作れないため、湯治場として油屋を営み、唯一の力である魔女の契約書を使って生物たちを使役し、稼いだ金で絢爛豪華な暮らしをする。
魔女と言え、異界でも生活するのに金が要るなんてちょっとおかしいですよね。
でも、それをどうしてもやめられない、欲してしまうが故、銭婆と違って生物を生み出せないから千尋たちを束縛するしかできないんですね。
ご拝読、ありがとうございました。