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帆高が家出をした理由
帆高が家出をした理由は劇中では語られることはありません。
ただその行動経緯やカットの中に隠された設定から読み取れます。
捜索願がかけられた帆高
劇中では帆高に捜索願がかけられていることがわかります。
もちろん、作中の冒頭から帆高の家出は確定された設定ですが、この時点で両親の存在があることがわかります。
作中ではラスト1カットのみの登場ですが、捜索願がかけられていることから家庭環境には問題がなく、帆高の家出の理由が両親そのものにたいする”不和”であることがわかります。
実際帆高の顔にはうっすらとあざのような描写が見えます。
家出中に持参したと思われる小説のタイトル「THE Catcher in the Rye(ザ・キャッチャー・イン・ザ・ライ)」とは
作中では唯一帆高の家出のきっかけとも思われる、シーンが隠れています。
それは冒頭の漫画喫茶で仕事を探すシーンで、カップラーメンの蓋代わりに置かれ小説です。
小説のタイトルには
「THE Catcher in the Rye(ザ・キャッチャー・イン・ザ・ライ)」
日本題名で「ライ麦畑でつかまえて」
J・D・サリンジャーによる長編小説であり発行部数6500万部を超す青春物語です。
実はこの小説。
内容がかなり本編の帆高の状況とかぶってるんです。
詳細は本編を語らずということですが、「ライ麦畑でつかまえて」はそのまま「天気の子」の下地に
なっているとも考えられる内容になっていおり、驚きました。
そしてこの「ライ麦畑で捕まえて」「天気のこ」とちがい、作中に主人公が家出をするきっかけが描かれているんです。
私はこのライ麦畑本編の序章に帆高の家出を示唆する内容が書かれているのではないかと思います。
帆高はどこから東京にやってきたのか?
作中冒頭、帆高が現れるのは東京へ往復する船の定期便。
公式の設定では帆高が家出をしてきたのは「離島」と記載されています。
東京から定期便で往復できる離島と言えば竹芝桟橋から高速ジェット船が出されている大島や新島といった、約2時間ほどで到着できる島があり、離島と言えど小笠原諸島などとった観光名所と言ったところではないので、ある程度都心と同じ生活環境がある場所からと考えられます。
帆高の家出の目的
帆高の家出の目的は作中でも語られていません。
帆高は船から降りてすぐに高校生1年でもあるにもかかわらず、ネットカフェで住み込みの仕事を探したり、雑誌ライターのけいすけのもとで住み込みで働いたりと。
「東京に着てないかをやりたい!」
という目的がないように思われ
また帆高は陽菜を追いかける際、
「どうしてみんあほっといてくれないんだ」と圭介に言葉を浴びせています。
帆高の性格
帆高の年齢は公式では高校1年生ということになっています。
後先考えづに陽菜を助けたり、銃を拾って発砲したりと、情緒が不安定問うことではないのでしょうが、世の中や社会を知らずに思慮が浅いところが見えますね。
作中の季節はわかりませんが、大雨が降ったり、帆高たちはTシャツや丈の短いスカートをはいていたことから、夏に入りかけた7月初めと考えられます。
と考えるとまだ学校に入学してから4ヶ月ぐらいしかたっていないいんですね。
行動に幼さがまだ残っているのが雰囲気からわかります。
新海誠監督として帆高のバックグラウンドを描く必要はなかったのか?
劇中は帆高と陽菜の出会いから別れ、その間に起こる出来事だけに濃縮されています。
帆高と陽菜、両方の素性や家族構成は一切語られず、シーンにちりばめられたヒントをもとに考察を楽しむしかありません。
新海監督の作品の傾向として、圧倒的な描写力とドラマティックな展開は、ふだんアニメを見ない客層にとって馴染みやすく、先入観なく誰でも楽しめます。
ある意味帆高と陽菜の明るくないであろうバックグラウンドを作中で語るのは余計なシリアスさととらえたのでしょう。