かねてより、労働環境が悪いと評判のアニメーター。
最早、日本の一大産業となり、Netflixなどでは世界中の人が日本のアニメを見るようになりました。
ですが、現状、その過酷な労働環境に苦しむアニメーターは増え続けています。
厚生労働省はそれらを解消べく、フリーランスとして働く職種のうち「芸能事業者」「アニメーション事業者」「柔道整復師」の三つの業種を新たに労災保険の対象として認可しました。
今回はその中でアニメーターをピックアップし、現状のアニメーターが労災に入るとどうなるか、ご紹介したいと思います。
私自身、元アニメーターでもあるので、別ブログの方を覗いて頂けたら幸いです。
労災保険とは?
労災保険とは、仕事で怪我や病気の際、企業に雇用される労働者(この言葉あまりすきじゃない)を対象にした、病院や自宅療養の際に必要な費用を国から保険料として給付されるものです。
間違ってはいけないですが、給付金は雇用主の企業側から国へ納付され、巡り巡って受け取る賃金です。
故に大まかな企業では、給料などから経費としてさっ引かれます。
今回、特別加入が認められた業種は主にフリーランスとして、青色確定申告(個人事業主)が対象となり、
保険料を納めるのは企業主である、自分自身となるわけですね。
現状のアニメーターは保険加入の際、どうなるのか?
まず、現状のアニメーターからするとこの制度を利用するに当たって、加入に支払う料金より、受け取れる労災保険料が問題でしょう。
入会金は現行1000円、組合費500円を月々と一見お安いですが、
受け取れる給付金に関して言えば、その人(事業者)がどれだけ稼いでいるかが問題になります。
アニメーターは、給付金を期待できない。低賃金故の問題。
受け取れる給付金は、その人が月額どれだけ働らき給料を稼いだかになります。
現状のアニメーターの平均給料は約15~20万円。
こちらの数値は、原画マンを基準にしており、20万円と言う数字は、アニメーターが1原(レイアウト)のみもしくは2原(原画の清書のみ)短歌1800円とし、週6日として計算したものです。(詳しくは個人ブログをどうぞ)
給付される金額は休日も含まれます。
ので、20万円÷30日で約6500円ほどになります。
意外と多いですね。
アニメーターのほとんどは独身者が多く、一人暮らしの生活を支えるには十分です。
ですが、これはあくまで原画マンとして20万円をコンスタントに稼いだアニメーターが受け取れる金額です。
新人の動画マンなどは月給よくて10万。
私が初月で稼いだ金額は3万円(平日・土曜勤務)です。
原画マンに上がるまでの歳月が一番労働としてキツかったことが思い出にありますので、現状新人のアニメーターが労災の恩恵を受けるのは不可能でしょう。
更にいうなら、原画マンや動画チャッカーになっても、その激務から解放される訳で話ありません。
仕事場と病院を行ったり来てしまっていては、スケジュールにも穴を空けかねません故、労災が下りるからといって仕事をおそろかにすることも出来ません。
根本的にはアニメーター救うには労災よりも、賃金など給与に直結した法改正が望ましい
労災を受けても、労働環境のせいで怪我や病気をしてしまっては意味がない。
慢性的な過重労働の環境では、病気や怪我が治っても
「また怪我をしないように」っと祈る他なく、もとの日常に戻るほかない。
さらに、アニメーター業界も高年齢化が進み、新人の育成にチカラを入れても、その労働環境が改善されなければ離職率は改善されずじまいで終わり。
結局少ない若手アニメーターのしわ寄せが業界内で広がるだけだ。
現状を変えるには、国からだけでなく、現状のアニメーターが声を上げ、意見と立案して行く手段を獲得すべきだ。